ROSEの読書感想文

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異世界の戦士として国に招かれたけど、断って兵士から始める事にした (ツギクルブックス)

 異世界召喚系ファンタジーに見せかけたSFなのではないかと思った今作は、人語を話さないオーク、ブルクトレスが大変魅力的なキャラクターだと感じました。

 主人公は異世界から召喚されてしまった高校生。ラノベなどの知識で異世界転生系もすんなり理解出来る適応力の高いタイプですが、兵士の訓練に耐えるだけの根性も持ち合わせています。

 そして、私の主人公ことブルクトレスは訓練校で同室になりパートナーとなる心優しいオークです。

 ブルクトレスは人語は話しません。人々からオークに生まれたと言うだけで大変な差別を受けています。けれども彼は優しい心を失わず、困っている人が居れば助けようとするのです。

 なんていいやつなんだ……。

 というよりは見た目だけで差別する異世界人酷すぎない? と思ってしまいます。

 そして、こちらの作品も中々クセの強いクソ上司が出てきます。

 クソ上司と言えばネバー・レイト・ナイターズがすぐに浮かんでしまうのですが、そんなものとは比較にならないほどとんでもないクソ上司は、悪意の塊と表現しても差し支えがないのではないでしょうか。

 よく上官になれたなというほどやらかしが酷い。そしてこの上司のせいで、主人公達は自分のレベルで生還出来るか不安なダンジョンに飛ばされてしまうわけですが……。

 まあ、異世界から召喚された主人公なので生き延びますね。

 そしてファンタジーの中に唐突に現れる研究施設!

 なんだ、これは……。ファンタジーの皮を被ったSF??? 

 なんかクトゥルフシナリオでありそうな展開……。

 そんな冗談はさておき、神の声という一種のチートがある主人公は危機を乗り越え無事生還……と思えばなんだか不穏な空気があるのです。

 私の主人公はブルクトレスですが、もう一人印象的な人物は主人公の同級生、藤平です。

 彼はなんというか、ラノベにどっぷり浸かって自分の知識が絶対正しいと疑わない所謂「ちょっと困った子」という印象でしょうか。

 出番自体はそんなに多くないはずなのに妙にインパクトを残してくれた彼はケチなエピソードがまたその性格を強調しているようです。

 

 ストーリー上の謎がやや残されたままの印象があるのですが、続刊があるようでした。そちらで明かされるのでしょうか。