ROSEの読書感想文

読んだ本とかWeb小説の感想を書くよー

これが最後の異世界トリップ (レジーナブックス)

 
 ベテラン異世界トラベラーな主人公の適応力高めな転移ファンタジーです。
 
 散々異世界転生物が溢れている中で転移は少々珍しくなってきたところでしょうか?
 が、今作はそれだけではありません。
 なんと、主人公は五回目の異世界トリップなのです。
 しかも毎回別な場所。
 毎回唐突に異世界トリップ。そして現代日本に戻ってまたトリップ。を繰り返し、受験を失敗したり道に迷ったり、夢にまで見た日本食を食べ損なったり……。
 
 そんな主人公の最後のトリップ先は、召喚されて辿り着いた中華ファンタジー風な世界。そして、皇帝は女装&オネェ言葉の美人さん。
 主人公が散々差別用語を口にしていますが、皇帝も主人公を狸と呼んでいるのでお互い様ですね。
 
 今回の主人公の特筆すべき点は生きることに全力と言うことでしょうか。
 伊達に異世界トリップを繰り返していない。
 生存に必要なこと以外はなにもしたくない。妥協も出来る。
 でも食べ物は……おいしいものが食べたい! という食いキャラ系ヒロインですね。
 おいしいものをたくさん食べたい。食べることは生きること。
 食のために頑張りますという、後宮系中華ファンタジーで主人公がタケノコ採取したり椎茸焼いて食べてるシーンははじめて見ました。
 自給自足、自炊してなんとか生き延びようとする強かヒロインです。
 
 この手の作品にしては珍しく女同士の泥沼バトルは控えめ。その代わり政治的な話が多めに登場してきますがメインは皇帝との恋愛といったところでしょうか。
 しかしたぬぽい主人公は鈍感も鈍感。オネェ系皇帝が男に戻っても鈍感。
 これは攻略が大変そうです。
 
 作中で散々狸と呼ばれる主人公ですが、挿絵も大きな眼鏡でちょっぴり狸っぽい雰囲気が可愛らしいのですが、それ以外の部分ではあまり狸感がありません。もう少しふっくらころんとしたイメージだったらもっと狸感があったのかも?(とはいっても少女系小説の主人公が過酷なダイエット系以外でふっくらというのはあまり見かけないかも)
 
 メインヒーローがオネェ系ということもあり初見で好みが分かれそうな作品ではありますが、強か主人公と見た目に反してしっかり出来るヒーローという組み合わせが中々面白い作品でした。