ROSEの読書感想文

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殺し屋ダディ (集英社オレンジ文庫)

 出だしコメディだと思ったら、わりとヒーローっぽい作品でした。
 
 今年読んだ中で初の当たりかなと思いました(他が……だったからかも)
 パパ二人子供ひとりな偽造生活ものなので、BLっぽい雰囲気が苦手な人は回避した方が無難かもしれませんが、所謂相棒ものでしょうか?
 
 死んだボスの遺言を手に入れる為にエリート殺し屋二人がボスの子供を育てる、のですが、主婦業、そして親業に苦戦します。
 完璧だと思った通園準備が土壇場で路線変更、お着替えイヤイヤ、完璧だと思ったお弁当のダメだし……。子育てあるあるな事件が連発。
 それに加え、ゴミを監視するヤバいご近所さん、騒音クレーム脅迫状を送り付けてくるヤバいご近所さん……。ご近所トラブルまで発生。
 殺し屋に普通の生活は無理なのか。二人のパパは時々殺気を飛ばし合ってはなんとか協力してトラブルを乗り越えていきます。
 が、後半登場する新新興宗教『クリーンクリーン』なるヤバいネーミングの組織が中々くせ者です。
 名前だけ見ればギャグですよ。戦隊ものの悪役並な雰囲気ですし幼稚園バスの下りは元ネタどの戦隊だっけ? みたいな考えが過ってしまうのですが、パパ二人の過去が無駄にシリアス。完全コメディだと思って油断するとうっわぁ……というような過去が存在します。
 
 エリート殺し屋が子供に振り回されるような偽造家族ものが好きな人はまあまあ楽しめるかなと思いました。
 
 
 一番ツボだったのは、女装して潜入していた場面で女装を「変身」だと言い切って子供達のヒーローになるところでしょうか。子供相手に「説得」していくようなキャラの個性が好きでした。
 
 初めは遺言の為仕方なく、だった主人公達が中盤当たりからしっかり「親」へ成長していくのもよかったです。
 父親二人家庭での偽造家族ものなので作中で度々「同性同士のそういう関係」みたいな解釈をされることが多いのですが、それに対する嫌悪感を示すような人物も現れず、事件以外はわりと平和な世界のようです。
 
 二人のパパに育てられるこの少年……将来どうなるか楽しみですね。
 
 シリーズ化されるのであればチェックしたい作品です。