ROSEの読書感想文

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火喰鳥を、喰う (角川ホラー文庫)

 タイトル一本釣りされた一冊です。

 予約購入したはずなのに今更読み終わりました。

 

 ヒクイドリって食べれるの? と思い調べてみたら食べられるようで、しかも牛肉っぽくておいしいそうです。食べてみたいです。

 

 タイトルから連想されたのは喰ったヒクイドリの怨念アニマルパニックホラー的なヤツだったのですが、全く違いました。

 ホラーと言うよりはSFという印象を受けた作品です。

 

 戦死した大伯父の手記が見つかり主人公の祖父の元へ届く時期に主人公の家の墓から大伯父の名前が削り取られるという罰当たりな悪戯が発見されるところからはじまり、主人公達の周りで次々に異変が起こっていきます。

 

 仮面ライダー電王みたいな展開かなと、読んでいる途中でずっと『Double-Action』と『Action-ZERO』が頭の中で流れていました。

 

 十章構成で章の最後に夢の描写が入り、不気味な夢と現実で起こる異変で主人公達が追い詰められていく構造ではあるのですが、作中に何度も大伯父の手記が出てきます。最重要アイテムなのですが、本当にそれっぽい内容で興味深いなと思いました。

 戦場で生きることに対する執着。ヒクイドリを食べたいという怨念。

 結局ヒクイドリは喰われたのか? というどっちの世界が現実かわからなくなるような不思議な作品ですね。

 

 正直裏に書かれたあらすじで「ヒクイドリヲ クウ ビミ ナリ」と書かれているのを見て笑ってしまったのですが、作中でもその描写があるのですね。

 同じ場所で笑いました。

 わりとシリアスな作風なんですが、どうもこの一文が笑えるんですよね。

 ホラーと考えるとうーん、怖くはないかなという感じで、最初から胡散臭いこいつやっぱりああだったかみたいな感じなのでミステリとしてもうーんなのですが、SFと考えると楽しめたかなと思うような作品でした。

 

 タイトルのインパクトがあったので、本編はタイトルほどはインパクトがなかったかなと少し残念です。

 どうでもいいけど走鳥類が好きなので表紙がとってもキュートだなと思い届いた時テンションが上がりました。