さよなら神様 (文春文庫)
犯人の名前が最初からわかっているタイプのミステリ。
このタイプというと「殺戮にいたる病」が真っ先に浮かびましたがだいぶ系統が違います。
クラスメイトの「神様」が犯人の名前を告げるところから始まります。それが友達の親の名前だったら? 知っている人だったら?
クラスメイトの「神様」が犯人の名前を告げるところから始まります。それが友達の親の名前だったら? 知っている人だったら?
小学生探偵達が「神様」の告げる犯人が本当に犯人なのか答え合わせの為の推理を小学生なりにしていくという構成なのですが……
小学生ってこんなに賢かったっけ? となってしまい集中出来ませんでした。
テキストはそんなに古い作品ではないはずなのに若干の古くささを感じるというか、少し古い翻訳文学を読んでいるような気分になるテキストでした。
好きか嫌いかで言うとあまり好きではない。そんな印象の作品です。
まずクラスメイトが「神様」扱いされている時点でいじめに近いのですが、実際「神様」は予言じみたことを何度もしている。
他人の反応を見て面白がっているようなその様子は子供らしさも感じられる気はしますが、心証的にはあまり好感を持てませんでした。なんというか、序盤で好印象を持てなかったのでその感覚がずるずる後半に引きずられてしまったような気がします。
ミステリジャンルなのですが、犯人の名前から始まる形式だからなのか、唐突に事件が始まって唐突に終わってしまっているというような置いてけぼりにされてしまった感覚になりました。
神様=正しい の前提で繰り広げられているのが合わなかったのかもしれません。
殆ど好みの問題になってしまうと思いますが、事件にまったく惹き込まれないというか田舎の商店で流れているラジオを聞き流す程度の感覚で終わってしまった気がします。
ネットの評価などがよかっただけにここまで合わなかったのが非常に残念でした。