ROSEの読書感想文

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異世界君主生活 ~読書しているだけで国家繁栄~ (ダッシュエックス文庫)

 タイトルに偽りあり。
 
 タイトルに「読書しているだけ」と書かれていますが、全くそんなことはありません。むしろ異世界と日本を行き来して物品を入手するチート頼りの一作です。
 
 読書家ニートな主人公が異世界に召喚され王になるのですが財政破綻した国で数年後には隣国に吸収されそうな状況。とても読書だけしていられる状況ではない。
 ということで、主人公は蚊取り線香を商人に売り、そこで得た金貨を現代日本で換金して大量の蚊取り線香を購入、異世界で商人に売る。これで一気に国の借金を返済するぞーという流れなのですが、完全に労働していますよね?
 蚊取り線香を大量に、スーパーやホームセンター、ドラッグストア、仕舞いにはコンビニにまでよって購入し、それを自宅と繋がっているとは言え異世界に運ぶ作業。重労働です。
 そして、公共事業を始めて失業率を下げようとしますが、そこでもインスタントラーメン(とどんぶり)を大量購入して運び込む重労働。
 さらに自国でインスタントラーメン作り産業をはじめるために労働しています。
 引きこもって読書する時間などないではないか。
 まったくもって「読書するだけ」ではないのです。
 
 ただ、インスタントラーメンを作るのに油から作り始めるなどはあまり見かけないので斬新でした。
 最初に販売するのが蚊取り線香なのも面白いですね。この蚊取り線香を生産ビジネスにできていたらもっと面白かったかなと思うのですが主人公の知識の限界と言うところでしょうか。
 ただ、異世界で現代の品物を作るパターンできちんと生産過程で試行錯誤している作品はあまりないのでその部分は好感でした。
 順調に設けすぎて紙幣まで作り始めるのはやや展開が早すぎた気がしますが、こういった部分でも仕組みを解説して作り始めるという部分が面白かったなと思います。
 油作りをきちんと覚えていることからも主人公は単なる読書家ではなく物作りが好きなんだろうなと感じました。
 
 特に巨大な敵などもいるわけでもなく、国の問題だった借金も初手ですっきりしてしまったのでのんびりした経営ゲーム(Easyモード)みたいな雰囲気が好きな人にマッチしそうな作品かなと思います。
 和菓子ネタがあれだけしつこいのに和菓子が生産されなかったのが残念です。