愛されベータに直情プロポーズ (ダリア文庫)
そのジャンルを既に理解している人向けという印象の一冊。
名称は知っていたけれどその設定をいまいち理解し切れていない「オメガバース」という共通世界観(?)をベースにした作品なのですが、その根本設定に対する説明がないまま話が始まっていくので理解出来ない点が多くありました。
発生源がよくわからない「悪役令嬢」と似たようなテンプレがあるのかもしれませんね。
そして、シリーズ物の二作目(スピンオフ?)のような立ち位置だったようです。
セットに紛れ込んでいた一冊なのであまり気にせずに読み始めましたが、初手からトップ(所謂攻め)の外人さんがいきなりプロポーズして主人公の手を撫で回すなどの奇行を取り、狂人枠! と思わず叫んでしまったほどの衝撃を受けました。
主人公と兄家族がそれをわりと受け入れてしまっているところに驚いたのですが、世界観的にしゃーないと受け入れられているようでした。
主人公は外人さんの旅行(建築物めぐり)に通訳を兼ねて付き添うことになるのですがとにかく食べ物の描写が多いですね。作者さんが旅行好きなのかな? と感じさせるほど、行く先々でおいしいものを食べているなという描写があり、駅弁ひとつにしても、どちらを購入するか迷う主人公と両方買ってしまう外人さんの対比があったり食レポ的な印象さえ受ける食べ物の描写が多く、ビールや炭酸の描写も非常に多かったと思います。
もうね、BL抜きにしてグルメ小説書いてもいいんじゃないかってくらい食べ物がたくさん出てきました。ご当地ビールについて語る小説とか書いてくれてもいいんだよ。と言いたくなるほどビールの話や日本酒の違いみたいな話が登場したりして、さてはこの作者さん飲兵衛だな? と思ってしまったほどです。
京都はじっくり見たことがないので実際にそんなお店があるのかは知りませんが、建物や料理をここまでじっくり堪能して作品に表現して貰えたらお店側からしても嬉しいのではないかなと思いました。
根幹設定で置いてけぼりになった以外はグルメ小説、観光小説として楽しめたかなと思います。
逆に設定が理解出来なかったため、恋愛小説としてはよくわからなかったかなと思った一冊でした。