ROSEの読書感想文

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江戸の花魁と入れ替わったので、花街の頂点を目指してみる (富士見L文庫)

 こんなに脚注が多い小説は初めて読みました……。
 
 キャバ嬢(歴女)が憑依転生(?)して花魁になる話……なのですが、拗らせ歴女の一人称語りで書かれていて、とにかく歴史的な単語、用語、言い回しを使いたいのかほぼ全ページに脚注解説があるという非常に読みにくい作品でした。
 題材や設定は面白いと思うのですが、いちいち脚注が入り「ここでは○○という意味」だとか「○○の教養の高さを表現」などと古典翻訳作品でもここまで脚注は入らないでしょという次元で物語に浸れない空気になってしまいました。
 ここまで脚注入れるくらいならある程度の単語は現代語を使用すればいいのになと思う一方で、キャバ嬢やホストたち、夜のお仕事の方々が使う単語も歴史用語と同じくらい脚注が入るので、この作品はどの層向けなのだろうという疑問を抱きました。
 たぶん夜職の歴女さん向け……なのかな?
 現代知識を活用して商売するという異世界転生ラノベでありがちな展開も多いのですが、専門用語をたっぷりつかった歴史ものなので異世界転生ラノベ層にはやや敷居が高いかも知れません。
 義務教育の範囲でわかりそうな部分であれば脚注は必要ないと思いますし、主人公のマニアックさを表現したくてこういう用語を使うのであれば解説しないというのも手だと思うのですが、どうも作者さんはこの作品に出てくる歴史用語を全て解説したかったようです。
 地の文が砕けすぎという評価も目にしたのですが、まあ最近のラノベの流れからするとよりライトよりな印象の文章です。
 地の文はラノベ系読む人であれば慣れになると思うのですが、脚注の多さが気になりましたね。
 ここまでどっぷり花魁が主人公という作品は初めてでしたし、キャバ嬢が花魁になってNo.1を目指すという流れ自体は面白いなと思ったので書籍としての読みにくさが勿体ないなと思いました。
 脚注をページ毎ではなく章ごとくらいで入れていればもう少し読みやすかったかもしれません。
 
 終わり方がなにも解決していないような中途半端なのも気になったのですが、続刊が出ていました。
 ただ、構成的な読みにくさがあった作品なので続刊には手が伸びないかなと思いました。