ROSEの読書感想文

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契約は悪魔の純愛 (キャラ文庫)

 ロマンチックな印象の悪魔ものBL。
 
 飲酒運転事故で両親を亡くした主人公の元に現れた悪魔が主人公に一目惚れして契約を迫り、そのままずるずる保護者兼任するような関係が続いていく話、なのですが、所謂攻め側が悪魔なのでBLでよく感じる「もっと悩めよ!」ポイントが同性同士の部分でなくても主人公がしっかり悩んでいるのでこれはこれでありかなーと思った作品でした。
 主人公は両親を殺された復讐の為に生きてきたような人間ですが、相手を殺そうとまではしないどこか根幹が甘い人間で、ひき逃げ犯は親子揃ってドクズです。
 もっと酷い目に遭えばいいのにくらい思ってしまう犯人ではありますが、一応は悲惨な目に遭ったのでよしとしましょう。
 
 攻め側の悪魔は悪魔の割に主人公に甘く、やることは精々「解釈の違い」を利用して自分に優位な条件を得ていく程度で主人公が本気で望まないことはしないという、洋画の悪魔たちとは大違いなロマンチック悪魔です。
 主人公は主人公で契約すれば様々なものを手に入れられる、なんでも願いを叶えてもらえるという誘惑も跳ね返す、よく言えば信念のある、悪く言えば頑固者というキャラクターで、後半はややツンデレ気味な印象も受けました。ストイックな性格でかなり好感を持てる主人公でしたのでやはり過去を考えると可哀想になってしまいます。
 
 ライト寄りではありますが、ややサスペンス要素もあるのかなと思います。
 特に犯人が人を使って主人公を襲撃するシーンなどは本当に人間のクズだなと思わされる一方で、主人公の立場からするとかなりスリリングなのではないかと思います。
 
 全体的にライト寄りですが、テキストも読みやすく、BL作品でよく感じる「もっと葛藤しろよ!」をあまり感じない作品でした。たぶん悪魔の習性を悩みに持っていったところが読みやすかったポイントなのではないかと思います。
 
 本編とは関係ないけど表紙の絵師さんわりと好みでした。
 
 最近読んだBLの中ではわりと好きなさくひんかなと思いました。