ROSEの読書感想文

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愛と叱咤があり余る (プリズム文庫)

 

 普段あまり読まないジャンルを読もうとBL小説セットを購入した時に入っていた一冊。

 BLってBLひとくくりでいいの? って疑問を抱くくらいもう少しカテゴリ分けられそうですね。

 

 こちらの作品は所謂架空のお仕事系、でしょうか。

 お客様の愚痴を聞く風俗店で働く主人公(ボトム)が顧客(トップ)を落とそうと頑張るコメディ色強めの作品です。

 主人公は冒頭からゲイであることをオープンというかそのことに対して悩みを抱えている風でもなく、ノンケも落とすと意気込んでいるタイプです。

 お相手の方は主人公にノンケと判断されてはいますが、初対面からわりと主人公に気がありそうな雰囲気は醸し出しているので、ストレートではないですね。

 パンセクシャルバイセクシャルといったあたりでしょうかね。

 

 この作品で一番興味深かったのは主人公のお仕事です。

 客の愚痴を聞くだけでお給料が貰える! 

 勿論愚痴を聞くのも技術が必要で、主人公は叱り飛ばす系で人気を得ているのですが、ホストとも少し違う、スナックママの男性版のような印象のお仕事です。

 制服といいつつスーツを着ていたりなんだか不思議なお仕事です。

 主人公に叱り飛ばされると成功する的な話もあるようなので、占い師に近い職業なのかな?(占いはしていないけれど)と言う感じで、お相手の友人まで叱りつけたりするわけですが、客に手を出している以外はわりとまともな印象の主人公です。

 トップ(BLだと攻め?)の方が年下で、しかも主人公に叱られたがっているので上司と部下みたいに思えてしまうシーンもあったりしますが、主人公の方が感情が暴走しがちに見える部分もあります。

 

 会話回しが面白く、主人公が暴走さえしなければ常識的な思考のことが多いので、濡れ場なしの会話主体作品でもよかったのかなと思ってしまいます。

 全体的にコメディタッチではあるのですが、登場人物達がほぼ同性愛についてあっさり受け入れてしまっているような雰囲気はBLカテゴリ特有のもの名のでしょうかね?

 もう少し悩む描写や嫌悪を示すような人が存在してもいいのかなとは思いました。

 まあ、本来はこのくらいあっさり受け止められる世の中の方が正しいのでしょうね。

 

 お相手側の家族がかなりあっさりと温かく受け入れている状態は少し不思議ですがそれぞれキャラが立っているなと思いました。