ROSEの読書感想文

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軍人少女、皇立魔法学園に潜入することになりました。〜乙女ゲーム? そんなの聞いてませんけど?〜 (一迅社ノベルス)

 乙女ゲーム系転生物としては少し変わった今作は、主人公はルーインブレイカーズで言うところの転生者/モブといった立ち位置でしょうか。

 ただし、モブの割にチート級に強いです。存在チートという印象です。

 それもそのはず。彼女はエリート軍人なのですから。

 エリート軍人が貴族達が通う魔法学園に首席入学し、生徒達を見守る潜入捜査という名目で学生生活を楽しむ……はずなのに、なぜか乙女ゲーム展開回避に協力することになる話です。

 全体的にコメディ色が強い上に百合ではないけれど周囲からはそう見えそうな描写もちらほら? な印象を受けます。

 

 

 この主人公、イケメンがたくさん居る乙女ゲームの学生生活だというのに、色気より食い気。イケメンとのダンスよりも貴族の豪華な食事に注意が向いてしまう残念女子なのです。

 悪役令嬢(転生者)やヒロイン(現地人)など個性豊かなキャラクター達が登場するのですが、たぶん一番強烈なのは先生ですね。

 偉そうというか横暴な印象すらあるのに出来る学生にはきちんと課題を用意したり専門分野をしっかり教えられることに喜びを感じていそうないい先生です。

 

 一番好きだったポイントは悪役令嬢(転生者)と皇子(現地人・攻略対象)のすれ違い両想い展開ですかね。悪役令嬢(転生者)が乙女ゲームの展開ばかりに気を取られて目の前の推し(婚約者)が見えていないというのがニマニマしながら見守りたい流れです。が、主人公、それすらあまり興味がなさそう。自分の恋愛どころか他人の恋愛にも興味がなさそうな主人公です。

 皇子が主人公に嫉妬したりするシーンはただただ勘弁してくれと言う立場なのが興味深いですね。挑発もしないし恋愛もしない。ちょっとドライな印象さえ受ける主人公です。

 

 少し気になったのは一冊まるごと序章といった印象を受けたことでしょうか。

 調べたら続刊が出ていました。

 続刊が出るのであれば一巻目にもナンバリングして欲しいものですね。

 一冊で完結することを期待して読んでいたので少し騙されたような気分になってしまいました。

 

 全体を通すとテンション高めで、主人公が転生者でありながら乙女ゲーム展開を知らないモブ位置というのがあまり見かけない設定で読みやすい作品でした。