ROSEの読書感想文

読んだ本とかWeb小説の感想を書くよー

ミステリ

後宮の薬師 平安なぞとき診療日記 (PHP文芸文庫)

平安時代が舞台のミステリ風お仕事小説。 主人公は異国の系譜の女性薬師で都の貴族の依頼ではるばる仕事に来ましたがなんやかんやで大きな仕事に引きずり込まれていきます。 主人公が薬師なので謎解き要素は「どんな病気か」「原因はなにか」というところに…

自由研究には向かない殺人 (創元推理文庫)

タイトルインパクトの強い海外ミステリです。 所謂探偵役は高校生の女の子。それも優等生。なんでも知ってるちょっと変わった子が、自由研究の題材に自分の住む街で過去に起きた殺人事件を調べ直す青春ミステリといったところでしょうか。 三部作の第一弾で…

准教授・高槻彰良の推察9 境界に立つもの (角川文庫)

もう第九弾なの? と言いたくなるシリーズ第九弾。 番外編までしっかり読んだシリーズで毎回非常に楽しみなのですが、作者さんの映画愛や都市伝説愛のようなものを感じられる小ネタが多々含まれているのが非常に好きな作品です。 今巻は「鎌鼬」「髪切」「口…

魔眼の匣の殺人 (創元推理文庫)

特異能力があることを前提としたミステリ(?)第二弾。 前作はホラー寄りでしたが、今作はSFっぽい印象です。 主人公は相変わらず学食でなにを注文するか推理するゲームを続けていますが、パートナーを失った傷はまだ癒えていない様子です。 新パートナー(…

迷探偵の条件 1 (MF文庫J)

呪われすぎた学校と呪われすぎた主人公のコメディ寄りミステリ? なライトノベル。 ジャンルが結構悩むけれどまず主人公が女難過ぎる家系生まれで余命あと一年とか言われているだけでも濃いのに更に事件巻き込まれ型探偵気質とか濃すぎます。 しかも周囲の女…

教室が、ひとりになるまで (角川文庫)

TRPGで言うところの秘匿能力PvPシナリオみたいな一冊。 特殊能力があることを前提としたミステリと見せかけてがっつり道徳倫理観に訴えかけてくるヘヴィなヒューマンドラマですね。 思春期特有の空気を漂わせスクールカーストや同調圧力などがテーマのひとつ…

サーチライトと誘蛾灯 (創元推理文庫)

虫嫌いでも楽しめた昆虫ミステリ(?) 昔から本当に虫が苦手なのですが、今作はとにかくたくさん虫が登場する作品です。 探偵役が虫取り少年がそのまま大人になったような昆虫マニアで、夜の公園にカブトムシ捕獲に行ったらテントを張ろうとしているホーム…

その可能性はすでに考えた (講談社文庫)

あらゆる可能性を考えすぎな探偵の奇跡を証明したい推理小説。 タイトル一本釣りで購入した一冊です。 借金まみれの個性が強すぎる美形探偵が奇蹟を証明するためにあらゆる可能性を否定していくタイプの推理を披露するのですが、他の人間が奇跡であることを…

贋物霊媒師2 彷徨う魂を求めて (PHP文芸文庫)

前巻よりハートフルな印象のシリーズ二巻目です。 霊媒師(人間)と助手(幽体)というユニークな探偵助手関係だったところに新たな助手(人間)が加わった今巻ですが前巻よりも真面目に仕事をしている気がしました。 ほぼ詐欺師のような口先で言いくるめる…

爆弾(講談社)

以前「白い衝動」がなかなか衝撃を受けた作家さんだったのでかなり期待していました。 正直冒頭はあんまりかなーと思ったのですが、中盤からが素晴らしいですね。 相変わらず倫理観、道徳観を問いかけてくるような作品だったのでこの作者さんの作風なのかな…

スイーツレシピで謎解きを 推理が言えない少女と保健室の眠り姫 (集英社文庫)

お菓子作りは科学だ! お菓子がテーマの謎解きものです。人が死なないミステリなので血生臭いのが苦手な人も安心ですね。 今作一番の注目ポイントは主人公が吃音だということでしょうか。 漫画だと「ワンダンス」の主人公が吃音持ちだったなというのが思い出…

公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫)

ミステリとしては登場人物が揃った時点で犯人が予測出来てしまう気がしますが、ヒューマンドラマとしては描写が細かいなと思わせる作品でした。 タイトルに「公開処刑人」とついているように「処刑」シーンがあるため、グロ耐性が低い人にはおすすめできない…

さよなら神様 (文春文庫)

犯人の名前が最初からわかっているタイプのミステリ。 このタイプというと「殺戮にいたる病」が真っ先に浮かびましたがだいぶ系統が違います。 クラスメイトの「神様」が犯人の名前を告げるところから始まります。それが友達の親の名前だったら? 知っている…

ハサミ男 (講談社文庫)

もっと早く出会いたかった本です。 有名作品なのですが、タイトルがなんとなく好きではなく手が伸びていなかった作品で、ミステリ必読書リストに入っていたので興味を持ち手に取りました。 結論を言うと、タイトルで避けていた過去の自分は愚かでした。 映画…

闇の喇叭 (講談社文庫)

歴史IF的な世界観の作品です。 有名な作家さんですが、読むのはこちらの作品が初になります。 道民として結構不快に感じられた表現が多かったのでいつもよりぼろくそな感想を書く可能性が高いです。 大東亜戦争で原爆を三度落とされたIFな日本で、北海道も奪…

噓つきは殺人鬼の始まり SNS採用調査員の事件ファイル (宝島社文庫)

タイトルインパクトがある作品。 タイトルもですがラストもインパクトはありました。 SNSの裏アカ探しをするネット探偵という職業と、就活失敗が裏アカ特定のせいだと乗り込んでくる行動力ありすぎるヒロインの時点で惹き込まれました。 いや、裏アカ作る方…

魔王城殺人事件 (講談社文庫)

小学生探偵達が挑むミステリです。 小学生探偵というとどうしてもコナンくんが浮かんでしまい、少年探偵団はもう完全にあのイメージになってしまうのですが、今作の主人公達は小学五年生なのでコナンくんたちよりも年上の高学年少年探偵クラブというところに…

書きたい人のためのミステリ入門 (新潮新書)

ミステリはミステリでもミステリ創作論というか読書論のような一冊です。 書かなくても推理小説が好きな人は読むと楽しいのではないかと思いました。 この本の最後に本の中で紹介された作品リストがあるので、これから読んでみる本を探す参考にもなりそうで…

作家刑事毒島 (幻冬舎文庫)

ミステリと呼ぶよりはキャラクター小説という印象になってしまう程、毒島さんのインパクト強すぎる作品です。 正直物書きにはグサグサぶっさり突き刺さる最早暴言と言ってしまいたくもなるような言葉の凶器が何度飛んできます。 最初に出てきた下読みのコメ…

AI法廷のハッカー弁護士

裁判官もAIになる時代がそのうちくるかもしれませんね。 読書メーターで知って購入した作品なのですが、普段は自分で買わないSFミステリといったところでしょうか。 カテゴリがとても悩んだのですが、キャラクター性がとても強かったと思うのでキャラ文芸カ…

屍人荘の殺人 (創元推理文庫)

館シリーズのようなミステリを期待したらパニックホラー風味だった一冊です。 わりと序盤で明かされるのでもう書いてしまいますが、現実世界の本格ミステリだと期待して読み始めたらゾンビパニックものだった最初のドッキリから密室殺人が起きるというミステ…

黒猫館の殺人〈新装改訂版〉 (講談社文庫)

新年最初の一冊はやっぱり館シリーズでした。 今回はなんだかメルヘンな名前の館だなと思ったのですが、思わず「黒猫ってそっちかい」と口にしてしまいました。 今作は手記と記憶喪失の依頼人とのやりとりが交互に進んでいく構成です。 が、手記の内容が違和…

時計館の殺人<新装改訂版> (講談社文庫)

館シリーズ(文庫版)初の上下巻構成ですが、今回は時計がテーマの館です。 ロマンの塊ですね。 十角館に出てきた江南くんが久々の登場です。すっかり社会人になった彼ですが相変わらず死神に溺愛されているのか巻き込まれ体質ですね。 今回の館は非常に大き…

水車館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

感想を書く順番が前後してしまいましたが、シリーズ順番通りに読み進めました。 館シリーズ第二弾。主人公は車椅子の男性です。 家主が車椅子生活なのでエレベーターもある、水車付きの立派な館というイメージでしょうか。客室も多い構造なのでとても大きな…

新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫)

ミステリ必読書リストにかなりの頻度で加えられているこちらの作品ですが、タイトルが既に強烈なインパクトです。 事前情報としてかなりグロいと聞いていたのでグロ耐性が低い身としてはドキドキしながら読んでいましたが、内藤了さんの作品などと比較すれば…

人形館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

館シリーズ第四作。 これだけ読めば作者さんのパターンなんてわかるだろう。 ド派手な死体が出てくるに違いない。 そんな気合いを入れて読み進めて居ましたが、あれ? あれれ??? 150ページ以上読んでも死体が出てこないぞ??? タイトルに「殺人」って付…

占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫)

タイトルは有名なのに読んだことのなかった新本格と呼ばれる推理小説の一作ですが、ミステリ必読書リストの中に入れられることが多い作品です。 これだけ有名だと非常に期待値が高いものになってしまうのですが、冒頭部分が一種の苦行でした。 狂人の手記と…

迷路館の殺人<新装改訂版> (講談社文庫)

シリーズ順で言えば水車館の方を先に書くべきなのでしょうが、記憶が新鮮なうちにこちらの感想を書きます。 今作、一番衝撃だったのがカバー折り返しの「本文図版 小野不由美」の文字です。 思わず水車館も確認したらそうなってた……と一番驚いた部分だったの…

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

数年前から「後味の悪い話」として薦められていたのですが、読む機会がなく、書店の推理小説特集で平積みになっていたのを見つけ、ようやく手に取ったこの作品は古い翻訳小説のような印象でした。 先に断っておくとこの感想を書いている人間は翻訳小説を読む…