ROSEの読書感想文

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書きたい人のためのミステリ入門 (新潮新書)

 ミステリはミステリでもミステリ創作論というか読書論のような一冊です。
 書かなくても推理小説が好きな人は読むと楽しいのではないかと思いました。
 
 この本の最後に本の中で紹介された作品リストがあるので、これから読んでみる本を探す参考にもなりそうです
 
 一番衝撃だったのはリストの中で読んだことのある作品が5作品程度だったことです。結構読んだつもりが思ったよりもミステリをよんでいなかったと気づかされました。
 
 ミステリの編集の方が書いた本というだけあり、テキストが非常に読みやすく理解しやすい書き方でした。
 もう凄いトリックが思いついている、凄い事件が思いついているという人はヒントの出し方や構成について書く手がかりがたくさんあると思います。逆になにも事件が浮かばない、トリックが浮かばないという人に対しても、身近な題材にいくらでもヒントが転がっているよという創作に対するヒントになるような作品を具体例を出してくれています。
 全体的に、語り方から優しさを感じる一冊で、他者さんの別ジャンルの創作論を読んだときに言葉の選び方がやや攻撃的だなと感じた本があっただけに、作者さんの真摯さというか、フェアさを感じられた一冊でした。
 
 ミステリというジャンルに対する作者さんの愛のようなものも感じられ、ポーから始まりわりと最近の作品まで網羅されているのが流石(職業的なものもあるかもしれませんが)だなと思いました。。
 それにしても原稿用紙3000枚の応募原稿は凄いですね。何事にも限度がありますし、長ければいいってものでもないですよね。
 ここ十数年(下手したら二十年くらい?)Web投稿へのハードルが下がったので作家一本で食べていこうと思わなければ、小説は誰でもチャレンジ出来て気軽に他者に公開出来るものになりました。この本をヒントにミステリに挑戦してみるのもありなのでは? と思わされるだけの後押しをしてくれるような書くためのポイントまで添えてくれる親切さは、きっとこの本を読んだ誰かが新たなミステリ作品を生み出してくれることに期待もしているのだろうと感じさせられました。
 
 ミステリに限らず、小説に限らず創作者に大切なのは食わず嫌いせずにいろんな作品に触れてインプットし、ひたすらアウトプットを繰り返すことですね。全く同じ事を大学時代の恩師(劇作家)に言われたこともあり、非常に重要な部分なのだろうなと思いました。