作家刑事毒島 (幻冬舎文庫)
正直物書きにはグサグサぶっさり突き刺さる最早暴言と言ってしまいたくもなるような言葉の凶器が何度飛んできます。
最初に出てきた下読みのコメント時点で刺さりすぎてうっ……ううっ……と涙が出そうな状態で読む手が止まりそうでした。
新人賞応募の容疑者三人はそれぞれこんな人いる! しかもこんな作品いくつも見てきたって感じのがまさに表れているような人達で、え? 特定のモデル居るんじゃないの? と思ってしまったほどです。つら。
その後の章も「ああ……こういう人いる……」と思わされてしまう作家さんがあまりにも多く、Twitterで多くの物書きさんと交流がある立場としてもぐさっ、ぐさっといろいろ刺さって納得してしまったりしました。
ある章では本の一生とも言える企画会議から流通先、そして本の火葬場までのツアー(普段の生活では意識しないので興味深い)解説のシーンがありました。
印刷工場から裁断まで見学してみたいですね。
また別の章では図書館で借りた本しか読まない人物が登場しました。ほぼ購入派の自分からすると、きちんと期日通りに返却出来るように読み終わり、そのレビューを書き続けられるなんてとてもマメな人なんだなという感想を抱きます。
自分が購入派なのはいろんな本を同時進行でちまちま読むという偏った読書スタイルなので、返却期間までに読み終われないというのが一番の理由なのですが、やはり購入しないのは出版業界にとってマイナスなのだなと再認識させられた人物でした。
事件としてはそこまでミステリという印象ではありません。推理というにはわりとすぐに犯人がわかってしまうので、ライトミステリかキャラクター小説といった印象でした。
犯人の動機はコナンのようなわりと「そんな理由で???」となってしまう事件ばかりです。
面白いなと思ったのは度々幻冬舎さんの名前が出てくる場面でしょうか。
探偵役が作家で幻冬舎さんから出てる作品だからか何度も何度も飛び出してきますね。
今回助手役に当たるのが新米刑事の女性なのですが、ミーハーな部分があったりわりといまどきの女子っぽい印象を受ける部分もありますが、非常に真面目そうで好感が持てます。毒島さんに苦手意識を持ちながらも徐々に慣れているあたり相当メンタルが強い子なのだなと感じました。
キャラクター小説としては読んでいて面白い作品だったのですが、なにせメンタルに辛い発言が多々あるので続刊買うか非常に悩む作品です。