ROSEの読書感想文

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死神ラスカは謎を解く (マイナビ出版ファン文庫)

 カラスが好きなので表紙買いしてしまった一冊です。
 
 カラスと会話する導入。それだけでときめきました。
 
 主人公は刑事です。殺人などの凶悪犯罪を担当する刑事なのに好物がクリームパン。趣味は料理。
 なんというか、ギャップがかわいいと感じさせるタイプです。
 そして、カラスにクリームパンを分け与え、話しかけていたら、うっかりカラスが喋ってしまう……のですが突っ込みを入れていて驚き損ねるという少しうっかり(?)なところが印象的でした。
 
 カラスは自称死神でなにかをしでかした罰で半分カラス、半分人間の姿で過ごしており、カラスの時間帯に主人公に食べ物を分けられた恩で事件解決の協力をします。
 メカニック情報操作的な物を、カラスな死神というファンタジックな存在を使用して行うような構成で、四章で五つの事件を解決していきます。
 わりと雑な理由で殺人が起こるので、金田一よりはコナンみたいな印象を受けます。
 
 主人公が既婚者(妻を亡くしている)刑事で相棒がカラスという不思議な組み合わせが面白い上に、隙あらば惚気話をしようとする主人公は大切な人を失っているとは思えないほど明るく振る舞うやや空元気が過ぎるのかなと心配したくなってしまうような人物です。
 探偵と助手で言うと、刑事が探偵枠、カラスが相棒枠、というところでしょうか。
 この刑事、意外とちゃんと情報を得て自分の頭で考えるタイプで、便利過ぎる鳥相棒に頼り切りというわけでもないところが好感を持てました。
 
 そして死神、カラスにされていることを屈辱と感じている反面、主人公に餌付けされる生活を気に入っているようにも見えるのが面白いです。でも人間の姿になったほうがおいしいものをたくさん食べれるから戻りたいかな? と思ってしまう程度には餌付けがどんどん進んでしまっています。
 
 エンディング的にも続編が出来そうな感じなので、もしかするとシリーズ化するのかな? と感じました。
 
 謎解き系のミステリを期待すると期待外れです。しかしファンタジーやキャラクター小説として見ると楽しめる作品でした。