ROSEの読書感想文

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闇の喇叭 (講談社文庫)

 歴史IF的な世界観の作品です。
 
 有名な作家さんですが、読むのはこちらの作品が初になります。
 
 道民として結構不快に感じられた表現が多かったのでいつもよりぼろくそな感想を書く可能性が高いです。
 
 
 
 大東亜戦争で原爆を三度落とされたIFな日本で、北海道も奪われたIF世界観です。
 ええ、この時点で結構不快なんですけど、作中で登場人物が北海道を明確に「敵国」と表現している部分があり、道民として非常に不快でした。
 戦争描写はまあ仕方がないとはいえ、かなり不快になる表現が多く、史実でも不快なのに更に不快になるという印象でした。正直序章で読むのをやめようかなと思った次元です。
 序盤を乗り越えても作中何度も北海道を「北」「敵国」などと表現し、蝦夷を蔑称として何度も使用しています。関西出身の作者さんは北海道になにか恨みでもあるんですかね? と言いたくなってしまうほどです。
 そこだけでも不快なのですが、更にこの作品は「探偵行為を禁止する」世界観なので、探偵小説を読んでいた生徒が教師につるし上げられるようなシーンがあったり、「方言の使用禁止」があるので、警察が来ると慌てて標準語で喋ったりなど不自由な世界です。
 生まれ故郷の言葉を封じたり何でもかんでも東京に集中させようとしたりIFだとはわかりつつも不快になれる表現の連発過ぎる上に、トランスジェンダーに対する表現も加わり最初から最後まで(不快感が)クライマックスな作品でした。
 
 推理ものなので結末などにはあまり触れたくはないのですが、終始理不尽な感じがしてしまい、たぶんこの作者さんの作品は二度と読まないであろうなと思ってしまう程不快でした。
 
 後書きによると青春世代向けに書かれているようなのですが、作者さんの想定する対象年齢の人達は序文IF歴史語りでリタイアしてしまう人が多いのではないかと思います。
 
 IF歴史でデリケートな部分に触れた攻めの作品なのでしょうが、推理トリック以前に世界観が合わない作品で、前向きに楽しめる作品ではありませんでした。