ROSEの読書感想文

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一途な君と淫らな私 (もえぎ文庫)

 タイトルインパクトのみで手に取った一冊です。
 
 一途って言うか……ストーカー? 一歩間違えなくても犯罪者じゃない?
 こんなのに流されて主人公(受け)は大丈夫なのかと心配になってしまう作品でした。
 
 そんなに分厚くない文庫なのですが、内容の半分以上は濡れ場だったのではないかというようなそのシーン重視な作品です。
 主人公がクール系(自分でクールと言っているように感じられる描写もある)美人らしいのですが、誰とでも寝る自暴自棄な部分があり、感情をあまり表に出さないと評価されているようですが、作中では感情的な面が多く描かれています。
 普段はエリートっぽいクールな装いをしていますが、ストーカーわんこ(攻め)の前では感情的で乱暴な様子も多々描かれていました。
 
 主人公が御曹司(愛人の子だが実の父からは愛されている)だったり、ついつい捨てられた動物を拾ってしまうようなどこのヤンキーキャラかな? というような性格だったり、仕事をサボっていても裏営業やほどほどの成果があるのでクビにはならないなど設定てんこ盛りで、さらに主人公に想いを寄せている友人や、主人公の元彼(相手は別れていると思っていない)が登場するなどタイトルのコミカルな印象とは裏腹に人間関係が複雑でドロドロとした印象すらある相関図になります。
 名前しか出てこない主人公の弟などが登場すると更に泥沼化するのか、弟とは良好な関係なのか気になる点もありますが、主人公とストーカー(としか言いようがない攻め)の関係性はコミカルに描かれていました。
 主人公の過去はかなり重めの設定があり、ほぼやせ我慢で乗り切ったフリをして生きているキャラクターです。心の傷が重そうな割にはわりとあっさり乗り越えたなと思ってしまいました。
 
 全体的にテキスト自体は読みやすい作品でしたが、もう少しドラマパート重視でもよかったのではないかと感じました。濡れ場多めの作品が好きな人には合うかもしれません。