ROSEの読書感想文

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反時計回りのシャーロック (小学館文庫キャラブン!)

 高校生二人がタイムスリップ(?)して若かりしシャーロック・ホームズ(実在の人物と言うことになっている)に遭遇するお話です。
 
 本当にライトな作りで対象年齢は中学生くらいかな? という印象を持ちましたが、テキスト自体はとても読みやすい文章でした。
 
 主人公は親のぼんぼん育ちのお坊ちゃまでお坊ちゃまが集まる学校に通っている優等生ですが、父の会社が倒産後独り暮らし&引っ越しのバイトをしながら通学する苦学生になってしまいます。そんな時期に元有名俳優がクラスメイトとして編入してくるところから始まるのですが、二人とも言語バリバリ出来る。英語で日常会話に苦労しないだとか、フランス語原書が読めるとか優秀すぎる二人です。
 それがどういう仕組みなのかタイムスリップしてなぜか英国に辿り着いてしまい、シャーロック・ホームズに遭遇するという。
 
 あの超有名探偵を登場させるなんて、しかも主要キャラの一人として登場させるなんて思い切ったことをするなと思ってしまいます。
 シャーロック・ホームズ自体はあまり好きではない人間なので細かくは突っ込みませんが、シャーロキアンの方が見るとどのような印象を抱くのかは気になる部分でした。
 主人公&友人が熱心なシャーロキアンで必死にシャーロックの気を惹こうという姿は親戚のお兄ちゃんに構って欲しい子供のようで微笑ましくは感じましたが、高校生ってこんなもんだっけ? という疑問は抱きました。
 
 事件、謎解き物としては正直あまり面白くはないなと思ってしまったのですが、葛飾北斎の作品が絡む盗難事件なので「人が死なない謎解き」や「芸術品」が好きな人は好きなテーマかもしれません。
 
 発売から数年経っている作品なのでシリーズものにはならないとは思いますが、主人公が好きなキャラクターだったので、別の世界にトラベルしてしまうような続刊があっても面白いのかなと思ってしまった作品でした。