心中探偵 蜜約または闇夜の解釈 (幻冬舎文庫)
タイトルインパクトがあり、期待値が高すぎたかなというような一冊でした。
主人公が心中したはずの相手だけ死んでしまい、自分が心中した相手は死んだ女性ではなかったというところから始まる奇妙な話ではあるのですが……。
主人公がクズ過ぎてこいついっそ犯人に殺された方がよいのでは?
犯人、ついでにこのクズも殺してやってくれ。
となるクズっぷりです。
好感度0どころかマイナスに吹っ切れるタイプの主人公って珍しいですね。と言いたくなる主人公でした。
死にたい。でもひとりじゃ死ねない。
みたいな甘ったれた金持ちぼんぼんのクズ主人公は心中に憧れる作家(既婚者)で、担当編集は振り回すわ女と見れば見境なく手を出すわなクズ(美形、金持ち)というどの層向けかわからないタイプですね。
まだなろうハーレムものの方がマシと感じてしまう次元でした。
そして、タイトルに「探偵」とつくからにはミステリとして見るとどうなのかというと……これも微妙ですね。
ここにこう書いてあったでしょタイプのアレですが、主人公の好感度が低すぎて回答編でも「ふーん。で?」という感想しか抱けなかったので、主人公を始末してくれる人を全力応援したくなります。
作中に度々心中ものの話が出てきますし、主人公の心中失敗エピソードとかも太宰治かな? 人間失格かな? 思ったりもするのですが、恥の多い生涯を送ってきました。と語ってくれるだけ人間失格の方がマシと言ったところでしょうか。
度々作中作で主人公の作品描写が挟まれるのですが、こちらもあまり好きになれない描写でしょうか。
唐突に現れる「黒猫」も必要だったのだろうかと疑問を抱きます(作者さんの別作品の登場人物のようですがそちらは未読)。彼の登場シーンはメインキャラが調べてもあまり変わらなかった気がします。
こんな問題児主人公に甘すぎる親も見捨てきれない嫁も含めて登場人物が誰一人好きになれないタイプの作品でした。