ROSEの読書感想文

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AI法廷のハッカー弁護士

 
 裁判官もAIになる時代がそのうちくるかもしれませんね。
 
 読書メーターで知って購入した作品なのですが、普段は自分で買わないSFミステリといったところでしょうか。
 カテゴリがとても悩んだのですが、キャラクター性がとても強かったと思うのでキャラ文芸カテゴリにも入れておきます。
 
 裁判官がAIになった裁判で負け知らずの弁護士と、事件に巻き込まれ押しかけ助手になる依頼人トークがリズムよいのですが、この弁護士非常に面白いキャラクターでした。
 裁判に勝つために全身整形、スーツや時計、靴、声の出し方まで裁判官からの好印象を得るために全て計算する。その上法廷に合わせて裁判官から好印象になる響きになるように喉の手術までしてしまうとんでもない弁護士なのです。
 
 基本的にはミステリなのですが、裁判官がAIと言うところで、パラノイア的な雰囲気も少し感じさせます。
 タイトルだけ見た時はパラノイア的な世界なのかなとも思ったのですが、もう少し人間主体の世界でした。
 が、義肢で半サイボーグ化した人間が登場したりとなかなかSF色の強い作品で、所謂ミステリのような推理はさせてくれません。
 そして後半はホラー風味……からのコメディ。
 ほぼコメディですね。
 一番好きだったのは影響受けやす過ぎる検事ですかね。
 毎回犯人側のセミナーなどに参加して影響受けまくっているのがモロバレなところがとてもコミカルなキャラクターで、暗くなりそうな展開を明るく彩ってくれています。
 
 裁判官のAIが参考にしているのがアメリカの法廷という設定もなんだかリアリティがあって好きでした。確かにこういう分野だとまずアメリカなどから始まるのかなと思いつつ、日本の独特の判例などを考える場合どういう結果になるのかなと気になったりもします。
 SF自体があまり得意なジャンルではなく、AIについての知識もあまりある方ではないのですが、主人公を初めとする登場人物のトーク力、そしてキャラクター性の強さでとても楽しめた作品でした。