後宮の薬師 平安なぞとき診療日記 (PHP文芸文庫)
平安時代が舞台のミステリ風お仕事小説。
主人公は異国の系譜の女性薬師で都の貴族の依頼ではるばる仕事に来ましたがなんやかんやで大きな仕事に引きずり込まれていきます。
主人公が薬師なので謎解き要素は「どんな病気か」「原因はなにか」というところになります。
主人公の助手役になるのもまた薬師でわりと有能タイプ。探偵と助手というよりは探偵と探偵(見習い)といった感じのチームです。
舞台が平安時代なので普通に陰陽師が祈祷したりして治そうとしているところに主人公が科学的方面でアプローチしていくのが面白いですね。
病気の症状自体は現在ならすぐに解決出来てしまうような内容も多いのですが、舞台が平安時代だからこそ解決策が限られてしまうと言うのも悩みどころ。
歴史に詳しいともう少し楽しめるのではないかと思います。
それにしても、タイトルに「後宮」とつくと中華系が多い中、平安というところがまた目を惹きましたね。
歴史物は自分だとあまり購入しないので面白い本に出会えたなと思いました。
それにしても、祈祷が普通に選択肢としてありえる世界、平安クトゥルフみたいで面白いなと。実際平安時代はそういう時代だったのでしょうが、現代から考えるとやはり奇妙に感じてしまうなと思いました。
そして今見るとシリーズ物なんですね。
続編も入手する機会があれば手に取るかも知れません。