解剖学者と殺人鬼 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
原作者が解剖医という本職が書いたミステリ(ってかサスペンスホラー?)小説。
解剖学者と連続殺人鬼の視点が交互に描かれていくスタイルで双方の考えが垣間見える……のですが視点がころころ変わるので時系列が掴みにくく読みにくい印象でした。
ミスリードっぽい情報も仕掛けられていたりするのですが、謎解きメインと言うよりは殺人鬼と解剖医(と刑事)の戦い含めてサスペンスと言うところでしょうか。
途中殺人鬼と被害者のやりとりで完全にサスペンスホラーという部分もありますが、クリミナル・マインドとかあの辺りが好きな人なら飽きるほど見たタイプの殺人鬼だったのではないかなと思います。
原作者が解剖医と言うことでしたが、特別真新しさは感じず、視点変更が多すぎて読みにくいという印象ばかりが強い作品でした。
殺人鬼の方も自分のルールがあって、過去があって……というのはまあよくあるパターンなのですが、なんというか彼本人に魅力を感じないというか。
シリアルキラーで紛れ込める人物はたびたび魅力的に見え……ないです。なんというか本当にシリアルキラーの魅力を感じないというか、対人描写が浅いなと思いました。
シリアルキラーの主人公であればデクスターなどの方が魅力的に感じますね。
そして、シリーズ化前提なのでしょうか?
ラストがスッキリしない印象でした。
まあ、解剖学者の主人公であればいくらでも続編参加出来そうですけど。
ミステリを期待するのであれば失敗という印象でしたがサスペンスホラーとしては一部分楽しめました。