ROSEの読書感想文

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うちの娘は少しおかしい (ドラゴンノベルス)

 

 少しどころではなくだいたいおかしいお嬢さんが主人公の作品です。

 マフィアの一人娘が「制服が可愛い」という理由だけで貴族専門の王立学校に金を積み、脅迫して入学し、そこで友人達とともに成長していく物語です。

 

 この作品、冒頭が漫画形式で非常に驚きました。

 ラノベは冒頭数ページがイラストだったりイラストに台詞が入っている形式の物はよく見るのですが、今作はその部分が漫画形式になっており、登場人物紹介のページがありませんでした。

 読んでいる途中にこいつだれだっけ?となりがちなので、登場人物紹介がないのは少し不便でしたが、コメディ全振りの作品なので力を抜いて読むことが出来ました。

 

 今回の「私の主人公」はやはり王太子のジョンです。

 ここまで誰が見ても残念な王太子というのも珍しい。だいたいもう少し格好付けていられたり、教師陣からは忖度されていたりするはずのポジションで教師からも叱り飛ばされる王太子

 救いは婚約者とは相思相愛の点でしょうか。

 よくある悪役令嬢枠になりそうな王太子の婚約者は主人公(マフィアの一人娘)に口説かれ(?)あっさり落とされてしまし、王太子と主人公の間で揺らいだりしつつもちゃんと王太子のことを想っているあたり大変微笑ましい。のですが、この子達、六歳児なんですね。

 六歳なのに、えげつないいじめをしてくる同級生VS倍以上にして返す主人公。

 発想が完全にマフィアのそれになる主人公は貴族の学校に馴染めるのか? と想ったら、むしろ周りの方がいろいろ察しながらも受け入れてくれる。

 毎回王太子が主人公に勝負を挑んでくるけれど、殆ど相手にされずに敗北する彼は残念王太子ですが、婚約者にいいところを見せたいなんて理由で努力を重ね主人公に挑み続ける姿は大変微笑ましいです。これが十六歳でも微笑ましいと感じたかもしれませんが、彼もまだ六歳児。そう考えるとこのまま真っ直ぐ大人になって欲しいような、もう少し別の手段でいいところを見せられるように頑張って欲しいような複雑な心境になります。

 

 主人公はというと、学校でギャンブルを始めようとしたり、体育祭で金儲けをしようとしたり結構がめつい子ですね。委員会を「無賃金」と言い続けたり、お金には結構うるさいのはマフィアである父親の影響なのでしょうか。表向きは「金融業」にしていますしね。

 同級生達もなかなか個性豊かなのですが、主人公のキャラが強烈すぎてやや霞んでしまうでしょう。

 それにしても、制服が可愛いから身の丈に合わない学校に通いたくなるというのは非常に女の子らしい動機だなと思ってしまいました。

 

 コメディ全振り作品で、ややダークでグロテスクな描写もありますが、コメディと割り切って楽しめた作品でした。