ROSEの読書感想文

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断罪された悪役令嬢は頑張るよりも逃げ出したい (レジーナブックス)

 ラノベセットに入っていた中の一冊です。
 
 こちらの作品は所謂「死に戻り」作品です。
 興味深いのは死に戻りしているのは主人公だけではないという点でしょうか。
 
 そして、タイトルに「悪役令嬢」と書かれているのですが、主人公やその他の人物がメタ的な知識を持っていないのが特徴です。
 
 主人公はかなりおつむが残念なわがまま令嬢。婚約者のことが好き過ぎて近づく女を徹底的に威嚇し、嫌がらせし、殺人未遂までしたら処刑された記憶があり、処刑回避の為に目立たない地味令嬢になろうとします。
 が、引きこもり&大人しめの装いするくらいしかしてません。
 そして、使用人に「駆け落ちしたい相手がいる」と協力して貰い、家出しようとするのですが、執着系婚約者が待ち構えているのです。
 
 このカップル、お互い執着系で両想いなのにすれ違いまくっていたのですが、黒幕関係の事件がなかった場合、それなりに幸せに過ごしていた説すら浮上します。
 主人公の婚約者は自分の婚約者が他の女性に嫌がらせをしていても「かわいいな」「自分の為に嫉妬してくれるの嬉しいな」と考えるタイプ……という死に戻らなくても結構問題のありそうな人物なのですが、そんな彼にがっつし惚れ込んでいる主人公も中々凄い……。
 
 メインストーリー軸がわりと悪役令嬢もののテンプレではあるものの、登場人物に作品背景の知識がないのが少し捻りがあったのかなと思います。
 
 地味になりたかった主人公がやたらと自分のことを「壁のしみ」と表現するのがしつこすぎてそこばかりが印象に残ってしまうのがやや残念です。
 
 死に戻り系でこれほどまで努力しない主人公も少し珍しい気もしますが、下手に復讐に燃える系よりは憎めない主人公に感じられました。
 黒幕は特撮に出てきそうなタイプの黒幕でした。
 そして、メインヒーローのはずの婚約者……戦い方がどう見ても悪役、というか、わりと悪役っぽいことを躊躇わずにできるタイプなので、キラキラ系ヒーローに飽きてきた時によいかもしれません。
 
 わりとヒロインの頭が心配になりますが、一応本人達にはハッピーエンドなのでしょうというような作品でした。