ROSEの読書感想文

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転生令嬢の物理無双 (レジーナブックス)

 無自覚悪役令嬢(素手格闘)
 
 今作は令和の時代にレディース(すでに絶滅種では?)な主人公が乙女ゲームの悪役令嬢に転生して拳でいろいろ解決する作品です。
 
 悪役令嬢(拳)なんてロマンの塊なんだ。と思うのですが、本人は転生者の自覚はあるけれど乙女ゲームの知識がないので乙女ゲームの登場人物という自覚はないタイプです。
 逆に乙女ゲームのヒロインはゲーム知識持ちの転生者なのですが、この手の話でありがちなヒロイン(悪役)ではなく、ヒロイン(攻略対象)といった印象です。
 主人公のイケメン度が高すぎて悪役令嬢(中ボス)からヒロイン、その他女性キャラクターまでハーレムが築き上げられていく……あれ? これ百合小説だっけ? というほど、ヒロインが女性にモテていき、逆に男性キャラクターからは命を狙われる始末……。
 そして魔法相手に拳で戦うロマン主人公。
 素手格闘はロマンだ(メリケンサック装備だけど)
 剣は相手の命を奪うかも知れないから使わないという主人公ですが、「怪力」スキル持ちのあなたの拳は十分殺傷能力があります。どこぞの素手格闘クラッセ顔負けの活躍です。
 
 令和の時代にレディース、元ヤンというどことなく昭和臭すらする天然記念物ものの不良キャラで、実は優しい、シャイ、初心などなど不良キャラテンプレートの寄せ集めのような主人公ですが、王子相手にも容赦なく拳を決められるあたり好感度がぐんぐん上がっていきます。
 
 今回の私の主人公は悪役令嬢(中ボス)であるアリアンヌさんです。
 主人公が目障りだからと突っかかって来るけれど、邪魔者は自分の手で消すという心意気がイケメン。
 しっかり努力家で一本筋の通った人間感があるイケメン。
 主人公に落ちると乙女。というか、取り合っていた王子そっちのけで主人公を誘惑するような仕草を自然に出来る乙女強い。
 ツンとした前半からのギャップで私の主人公、改め私のヒロイン。
 もうアリアンヌさん攻略百合エンドでよくないですか?(あくまで舞台は乙女ゲームの世界)
 アリアンヌさんは推しなので彼女を選ばない攻略対象はきっと見る目がないのでしょう。
 
 今作で一番気になったポイントは、なぜかメリケンサックを販売している購買です。
 え? 購買?
 なんでそんなもの置いてるの?
 主人公以外に需要あるの?(購入したのはヒロインだけど)
 もしかすると今後素手格闘が流行ってメリケンサックを装備する生徒が増えるのかも……と考えると流行を先読みした購買のスタッフは素晴らしい商才ですね。
 
 拳で語るヒロインロマンが凝縮された一冊でした。