ROSEの読書感想文

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婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました(ベリーズ文庫)

 婚約者のクズっぷりが際立つ一冊。
 
 超絶ブラック環境で従軍していた聖女の主人公は捕虜になった婚約者に売られて(引き換えついでに金銭まで要求していたから本当に売られている)敵国王子の側妃になる話、なのですが、捕虜になった時になんの躊躇いもなく形式上婚約者とはいえ他人を売り渡せるクズ王子は本当にいいクズっぷりだなと思いました。
 これ系の作品は大抵(元)婚約者枠が残念おバカクズなことが多いのですが、その中でも際立つクズっぷりですね。自分の身代わりどころか金銭まで要求した挙げ句、謎の毒物で主人公の声を奪うという。海の魔女もドン引きしそうなクズエピソードですね。
 
 出だしがわりとヘヴィな割に全体はコメディタッチです。特に敵国王子の側近と主人公の侍女が距離感バグった印象で、自分を「かわいい」などと言ってしまう自称王子の愛人、特別な仲な側近は頭がおかしいのでは? と感じてしまいますが作中でかなり活躍する重要キャラになったりします。
 いろいろバグりそう。
 肝心の主人公は「聖女」から「女神」にクラスチェンジしてる割に能力である声を奪われたことに固執しすぎて卑屈になっていたりします。
 卑屈主人公を周囲が気遣ってヨイショして立ち直させ、なぜか敵国王子に溺愛される展開。
 声を奪って売り渡した主人公を再び回収しようとする元婚約者のクズの過剰供給がなけれれば正直そこまで楽しめなかったかなと思うのですが、主人公の元婚約者のクズっぷりが本当に際立ち過ぎていてむしろこいつが主人公の話が読みたいと思いました。
 クズ王子にリストラされた主人公代理の聖女達がどうなったかも気になるポイントですね。
 
 主人公より光るクズって凄いですね。
 
 敵国王子側はお国柄の違いで多妻制だったり、兄弟が多すぎてギスギスしていたりとこれもよくある展開ではあるのですが、わりとお粗末展開だったかなという印象でした。
 もっと元婚約者のクズでゴリ押ししてもよかったかもしれません。
 
 本当に単にクズキャラを楽しんだ作品でした。(嫌いではないです)