ROSEの読書感想文

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悪役令嬢になったウチのお嬢様がヤクザ令嬢だった件。 (電撃の新文芸)

 出オチ感満載なのにナンバリングなしで続ける気満々の強気な作品。
 と思ったらやっぱり続刊が出ていました。
 
 とりあえず今回読んだ一巻目のみの感想です。
 
 開いてすぐのカラーページでいきなり婚約者(王子)の指を要求する主人公(悪役令嬢)。
 ヤクザ令嬢ってか完全にヤクザのそれです。
 最早これが全てでは? という一枚。
 
 主人公は悪役令嬢に転生(ってか憑依?)したヤクザの女組長なのですが、タイトルは悪役令嬢の従者(世界の神が擬態した姿)視点で語っているような不思議な構造ですね。後書きにあったタイトル案の方がよかったのでは? と感じました。
 
 断罪イベント(出オチ)の後は他の攻略対象の婚約者たちを手懐けたり、冒険者として荒稼ぎしたりするのですが、男性向け作品にありがちな無駄なお色気シーンが挟まりがちです。作者さんは性別関係なく楽しめる物をとコンセプトにしているようですが、少年漫画的なお色気シーンは女性をターゲットにする場合はあまり歓迎されないのかなと感じました。相手が女性キャラだから余計に百合っぽい雰囲気が悪役令嬢物のメインターゲットと少し離れているように思えました。
 
 今作もヒロイン枠が転生者なのですが、このヒロインが見事なまでのクズヒロインでいっそすがすがしいです。最初に指を要求された王子は早々に見限られ、この王子本当に見せ場が「指を要求された」以外ないような、それでいて指を要求されるだけで微妙なキャラ立ちしているような不思議ポジションになってしまっています。
 
 攻略対象の身内にガチ変態が登場してくるのは新鮮でしたが、男性向け作品でよくあるテンションかなと感じました。
 
 舎弟が増える系悪役令嬢ものは以前にも遭遇したことがありましたが、指を要求された王子は初遭遇で、非常にインパクトがありました。
 が、こちらもナンバリングなしで明らかに続くようなエンディングだったのでもやもやが残ってしまいました。
 次巻に手を伸ばすべきか微妙な心境の一冊です。