神様の用心棒~うさぎは星夜に涼む~ (マイナビ出版ファン文庫)
函館が舞台のシリーズ五作目ですね。
元々表紙を書いている絵師さん目当てで購入したシリーズですが、今回も表紙が美しいですね。
新撰組はあまり興味がないのですが、函館は馴染みある地なのでだらだら読み続けているシリーズなのです。
が、この作品ってゴールはどこなんですかね? と感じてしまいました。
兎になりたいと願って兎の神に仕えている主人公だから兎になるのがゴール? にしても、日常に起きる事件と向き合っていくスタイルの作品なので続けようと思えばいくらでも続けられてしまうシリーズです。
折角時代物の世界観なのに、現在と比較した知識が誰の視点かよくわからない形で挿入されているのも気になってしまいました。作者さんが折角仕入れた蘊蓄を披露したかっただけという印象を受けてしまい、あの部分は削ってもよかったのかなと感じてしまいました。
怪奇とファンタジーの中間みたいな作品ですが、今回はヒグマが登場したところに驚きました。ヒグマは犬より嗅覚が優れた動物ではありますが、兎がヒグマを従えるという光景は想像するだけで恐ろしいですね。
今回も短めの話がいくつか入ったタイプになるのですが、物騒で少しダークな話の間にほのぼのと出来るエピソードが挟まるところは減り張りがあってよいと思いました。
特に小さなお菓子を要求する小さな人のエピソードはほのぼのできて好きでした。
釣りやピクニックの描写もありましたが、過去にクリスマスもやっているのでそれほど目新しさは感じず、永遠に続く日常物かなと感じてしまいます。
一冊の中で強弱はあるにしろ、最初ほどの衝撃はないので、今後続刊が出たときにどうするか悩む作品の一つではあります。
いつまで続くのかと主人公は本当に兎になるのかという部分が気になる作品です。