ROSEの読書感想文

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CEO生駒永久の「検索してはいけない」ネット怪異譚 ~IT社長はデータで怪異の謎を解く~ (メディアワークス文庫)

 ホラーを期待すると微妙だった一冊としか形容できない作品です。
 ネット怪談を題材としており、有名どころばかり使われています。本当にネット怪談をさらっとしか触れていない人が題材に選んだのかな? という印象です。
 タイトルから科学特化のスーパーナチュラルや「ゴースト・ハント」シリーズのような調査物を期待してしまい、完全に裏切られた感が強かったのでかなり辛辣なことを書いてしまうと思います。
 
 異界エレベータエピソードだと「准教授・高槻彰良の考察」シリーズで取り上げられたのが印象に残っているのですが、なんというか、オカルト好きの差のようなものが表れてしまっているかなという印象でした。
 
 キャラクターに関してもなにかと設定でフォローを入れようとしている印象はあるのですが生駒の性格の悪さ、そして主人公梓の幼稚さが際立ちすぎてしまいキャラクター小説というジャンルにおいて致命的な「好感度の低い」登場人物になってしまっているかなと感じてしまいます。
 
 取り上げられているのは「異界エレベータ」「渋谷七人ミサキ」「きさらぎ駅」「くねくね」の四つですが有名すぎる話ばかりになってしまうのでどうしても同じ話を題材にした別の作品が思い浮かんでしまいます。
 
 科学の力、データの力で怪異に挑むというコンセプト自体は面白いのですが、生駒を修験にしてしまう(非科学的な力を持たせてしまう)ことによりタイトルから期待したポイントを完全に裏切られた感が否めません。
 
 そして、なにもわからない梓を乱暴に事件に巻き込む展開は、梓に説明をしていくことで読者に説明できる機会を台無しにしてしまっているので、オカルト系に余程強い読者でなければ話の半分も理解出来ないなんてことになってしまいそうです。
 
 そしてとってつけたかのような同情をひく病気設定必要ですか? と疑問を抱いてしまいました。
 
 全体的にタイトルの期待値が高すぎ、タイトルとのギャップが大きすぎたため残念という印象になってしまった一冊でした。
 
 というかこれ序章? 本編まだ続けるつもりなのかも???