ROSEの読書感想文

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地獄くらやみ花もなき 捌 冥がりの呪花、雨の夜語り (角川文庫)

 コミカライズ原作小説の八作目。
 
 表紙惚れで一巻目を購入してから絵師さん目当てでなんとなくずるずる続刊を購入していましたが正直もういいかなという感想でした。
 
 図面が出てきたりミステリ風味なのですが、キャラクターが強すぎてキャラクター小説という印象です。
 今回は「ドッペルゲンガー」と「百物語」がテーマの短編二つとプロローグとエピローグの構成ですが、初期みたいに(見た目)年下の少年に飼われる情けないフリーターの面白さが減ってしまって精々飼い主がペットアプリで写真を撮ろうとしてくる程度しか「ペット感」がなくなってしまったのが残念です。
 更に今作は主人公(ペット)の活躍が少なく、スピンオフのようにライバル兄弟が活躍する話がメインになっている部分があり、前作から引きずっている本編の謎は殆ど明かされずに終わってしまい明らかな「次巻へ続く」展開になっています。
 なんですかね。ずるずる続いている感があって初期の頃のすっきり感が消えてしまったように感じます。
 キャラクターとしては探偵兄弟の棘さんが推したいキャラなのですが、彼は脇役として活躍しているときの方が魅力的ですね。
 凛堂兄弟メインにするならもう完全に別シリーズではじめた方がいいような気もします。ハードボイルド風をやりたいのであればなおさら。
 時代が過去だったり現代だったり落ち着かないのと、「クライマックスに向けて目が離せない」と語るのであれば過去編は別冊で出すべきだったのではないかと出版社に対しても疑問を抱きました。
 もやもやずるずると本編の核心が動かない印象なのでもう続刊はいいかな……という気分になりました。
 
 帯情報によるとYouTubeでボイスドラマが配信されているようなのですが……それよりも先に本編の決着を着けて欲しいなと思います。
 四巻くらいで完結していた方がスッキリしたシリーズかもしれないなと思います。