ROSEの読書感想文

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あなたのゼイ肉、落とします (双葉文庫)

 ダイエット小説、なのですが所謂「こうやったらやせる!」的なものではなく、ストレスとの向き合い方を重視したヒューマンドラマと言った印象の一冊です。
 
 章ごとに別の主人公視点で語られる本作の主人公に共通しているのは「太って」いて「太った姿を醜い」と思っていることでしょうか。
 太った理由はそれぞれですが、ほぼ全員に共通しているのが「ストレス」で、小学生主人公のみ「栄養失調」が原因となっています。
 そして全員ダイエット本の簡易診断後、著者と会って指導を受け少しずつ減量していくというパターンなのですが、脅迫概念的に痩せなきゃというよりはまずは自分を受け入れて考え方を変えていきましょう。考え方が変われば結果として痩せることに繋がります。といった風な展開になります。
 
 ダイエット小説と言えば児童書の「王様ダイエット-王さまのパンはやせるパン」が浮かぶのですが、こちらは食生活を改善して具体的なレシピなんかも登場するタイプだったと記憶します。そう考えるとレシピ詳細や運動の図解などがないダイエット小説は意外な気がします。
 コバルト文庫かどこかでもダイエット小説が出ていた気がしますが、あちらも具体的なレシピなどが掲載されていたと記憶しています(タイトルが出てこないのが残念)
 
 健康に支障が出るレベルの肥満は問題ですが、脅迫概念的に痩せることばかり考えてしまうのも問題です。そう考えると、パティシエ志望の主人公のような見た目は減ったけれど体重はそこまで落ちていない(筋肉が増加)のようなパターンが理想かも知れません。
 
 主題がダイエット、痩せることではあるものの、恋愛小説的な面もあり、主人公達の頑張る動機のひとつになっていたりするのが現実問題痩せたい人の動機にマッチすることもあるのではないかなと思いました。
 
 それにしても小学生主人公の肥満はシングルマザーで頑張ってるけれど本人無自覚な虐待に該当する可能性があるのではないかと思い、これも社会問題に訴えかけている部分があるのかなと感じました。
 
 姉妹編で「片付け」がテーマになっている作品もあるようですが、こちらは講師がダイエット本著者の姉妹というのも面白いなと思いました。