終わらない男 ~警視庁特殊能力係~ (集英社オレンジ文庫)
ついに最終巻です。
作者さんの20周年だったそうです。
BLも書いている(というかそっちがメイン?)の作者さんということもあり、それっぽい雰囲気の描写も所々あるので苦手な人は苦手かもしれません。
最終巻なだけあってオールスター作品というか、無理矢理引っ張り出されたのではないかというキャラもちらほら居るのですが、劇場版仮面ライダーのようなお祭り騒ぎという印象の作品でした。
主人公の視点で語られる作品なので人間関係回りがやや疑問が残ったようにも感じますが、事件の方は解決出来たのでよいでしょう。
作家の同居人の作品が書店平積みされる展開はなくてちょっと残念でした(そりゃあ前巻から時間経ってないからそうなんですけど)
前巻のラストからの続きになりますが、メインは四十数年前の事件の真相を解き、舞台沖縄の有名人を探る展開です。
最終刊でここぞとばかりに主人公の特殊能力「一度見た顔を忘れない」を発揮してくれたのは最早読者サービスというような印象です。
整形した後の顔でも能力が発揮出来るというのは本当に犯罪捜査では活躍するチート的な才能ですよね(但し罪状までは能力で覚えられない)
ほぼ全キャラが見せ場があり、本当にオールスター劇場版の印象しかないのですが、随分とんとんと事件が解決したなと思ってしまったり、黒幕っぽい人がただのいい人だったりと警察ものではあるものの、やっぱりキャラクター小説なのだなと感じました。
全9巻(たぶん)(完結と書いてたし)で新米だった主人公が成長し先輩になる……というわけでもなく、あくまで上司に憧れ、頼れる上司の下で頑張る部下という構造のままだったので、主人公がいつか頼れる上司になる日は来るのかと親戚のような目で見たくなりました。
相変わらず情報屋やフリーライターからの情報に頼っていたり退職した元同僚を普通に捜査に利用してしまったりとこんな警察大丈夫かと言いたくなってしまう部分は多くありましたが、最後まで楽しめた主人公の応援したくなってしまう好感度は素晴らしいと思いました。
職場に一人欲しいタイプの熱血くんでしたね。
実はこの作者さんの他の作品が積み本の中にあるようなのですが、テキストは読みやすい作風だと思うのでそちらも期待しつつ何処にあるのか探せずにいます。