ROSEの読書感想文

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憎まれない男 ~警視庁特殊能力係~ (集英社オレンジ文庫)

 購入後数ヶ月積みっぱなしだったシリーズ第八巻です。
 
 もうこんなにシリーズ続いてるのか。もうやることないだろうにってくらい、主人公の能力が活かされる場面が限られているように感じていましたが、熱血系な主人公にかなり好感が持てます。
 
 先に書いておくと、今までは一冊で一つの事件が解決するキリのいい終わり方をしていましたが、今回は次巻に続くエンドです。
 幸い、次巻も手元にあるのですぐ読める……。でもこのパターンだったら同時発売か上下表記にして欲しいなと思ってしまうのです。(積みっぱなしだったから問題ない)
 
 主人公が一度見た顔を忘れないという特殊能力(但し覚えられるのは顔だけ)の持ち主で、それを利用して未解決事件の手配犯を捜査する部署で活躍しているのですが、努力のみで捜査ファイルを丸暗記している上司が週刊誌で本人が特定出来てしまうレベルの写真とイニシャルを掲載されてしまうというところから今回の事件が始まっていくのですが、無能な警察上層部がいらんことをしているシーンがとても印象に残ってしまいます。
 警察にイメージアップ戦略は必要ないでしょう。地道に捜査して結果を出すのも大事ですが、犯罪を未然に防ぐことが一番の役割ではないでしょうかと市民の立場からは考えてしまうわけですが、こんなすごいことやってるんだよ! とマスコミ向けに発表したい上層部。
 無能な上司ほど困る物はいません。パワハラより質が悪いですよ。
 という個人の体験含む感想が浮かんでしまいました。
 
 今回は主人公が情報屋を頼ったりと、尊敬する上司の為に奮闘するお話になるわけですが、警察がそんなに情報屋頼りでいいのかよ。とか、正義感が強いのは主人公らしい性格ですが、不用意に参考人接触してしまったりと主人公の刑事として未熟な部分が度々強調されてしまっているように思えます。
 シリーズも終盤なのだからもうちょっと出来る刑事に成長しました感があってもいいのかなと思うのは初期から主人公を見て応援したくなる、言わば親戚みたいな心境で応援していたからでしょうか。
 初期の頃は度々叱られていた「声が大きい」特徴が少し落ち着いてきたのは寂しくも感じますね。
 主人公と同居している作家(の卵)が怖いくらい順調で、最終巻で単行本平積みされるような作家になっていても驚かないなと感じているところです。
 地味に彼の活躍に期待して最終刊に挑みたいと思います。