探偵・花咲太郎は閃かない (メディアワークス文庫)

　探偵ものというかロリコンものというか……。

　主人公がロリコン全開で、それに纏わる言い回しが非常に豊かというか女子高生すらその扱いかという筋金入りで、所謂探偵ものを期待したら裏切られること間違いなしなコメディタッチの作品です。

　よく名前を見る作者さんなのですが、読むのは今回が初めてになります。

　今作は職業探偵の主人公（動物探しがメイン、浮気調査があれば大事件）とロリ少女（サイキックかな？　な直感力）コンビが行く先々で事件に遭遇してしまうと言うか、二人が揃うと事件に当たるタイプのコンビものなのですが、主人公が表向きの探偵でロリ少女が真の探偵ポジションなのかと思えばそんなこともなく、ロリ少女は直感だけで犯人当てをし、推理パートは主人公に丸投げなのに、主人公は主人公で現場百回推理はしないタイプなのでおいおいおいおいと言いたくなってしまう状態です。

　テキストは非常に癖が強く独特の言い回し、リズム感という印象なので好みが分かれそうです。

　スピーディーに読めると言えば読めるのですが、最早古すぎて伝わらないであろうパロディやここでここまでネタをぶち込んで来るかと言いたくなるほどのコメディ描写が多く、殺人事件が起きていても死体の描写も投げやりにネタをぶっ込んでくるタイプの作品で探偵小説＝ミステリとして楽しみたい人は本を破り捨てたくなることでしょう。

　この作品は「探偵」を題材としたコメディというか、キャラクターの濃さで押し切ろうとする勢いの作品だと思います。このコメディのテンションとマッチしない読者は1冊まるまる滑ったギャグを読まされる感覚なので苦行にしかならないでしょう。

　逆にこのクセの強いコメディがマッチする人は作者さんの全作品に手を出しても後悔しない程度には合う作風ということになるのではないかと思います。

　正直作者さんと世代が合わなかったりすると読むのが辛い作品かと思います。

　ロリコンのゴリ押しが結構苦痛になっていたので続刊も所持していますがたぶん手に取ることはないと思います。