社畜騎士がSランク冒険者に拾われてヒモになる話~養われながらスローライフ~(ツギクルブックス)
パワハラなんて次元ではないとんでもない上司に虐待呼ぶべきか、奴隷以下の扱いを受けているような主人公がSランク冒険者(美女)に拾われヒモ(というよりは家政夫)になる話です。
とにかく上司がとんでもない。よくこんなやつの下で反乱が起きないなという次元で酷い。そしてそこでよく五年も耐えたな主人公。と言いたくなってしまうほど酷い。
そんな生活の末、雇い主(美女)と出会う訳ですがこの美女がとんでもなく強い。そして家事が壊滅的。こういうギャップは好きです。
そして迷わず食べてみるドラゴン。まあ、トカゲの親戚だと思えば……美味しいのかな?
散々こき使われていた主人公はまあ料理上手なのです。
下っ端雑用係(休暇なし)だったので家事能力はとにかく高い主人公。そして気に入られ、雇われることになるのですが、雇い主がまた金銭感覚が狂ったような美女です。
そして、ライバルというか当て馬のような、雇い主の崇拝者、アルビンが非常によい味を出しているキャラクターだと思います。
第一印象は主人公の立場からすると最悪と表現してもいいでしょう。あ、こいつ、すぐやられそうなキャラだ。と感じるような登場でしたが、彼はそんなことはありません。
むしろ後半になると非常に魅力的なキャラクターに化けます。
彼は主人公につっかかり、攻撃的な態度を見せていましたが、主人公を認めるときちんと謝罪できる根はいい人です。それどころか主人公の危機には真っ先に駆けつけようとする……もう、私の主人公と呼んでもいいでしょうか? と言いたくなってしまうようなキャラクターなのです。
そして、今作は所謂「お料理系」のタイトルがついた作品ではないのですが、表紙イラストからも察することができるように、とにかく料理、食事の描写が多く、登場人物達の素晴らしい食べっぷりが描写されています。
つまり、美味しいは正義。
皆の胃袋をがっちし掴んだ主人公が新たな居場所で楽しそうな日々を送る姿を考えれば、冒頭のパワハラどころか犯罪者上司の下で耐え抜いた五年も無駄ではなかった……のかな? と思いたくなりますが、やっぱりあの上司を考えると国はなにやってるんだ! とかもっと偉い人達は節穴なのか!? などと思ってしまうわけです。
普段はあまり読まないジャンルだったからか、自分で戦わない主人公(家政夫)が新鮮で興味深い作品でした。