レベル596の鍛冶見習い(アルファポリス)
中途半端なレベルだなぁ。
タイトルを見た第一印象はそれでした。
最初に断っておくと、ケモミミ系の獣人があまり好きではありません。100%獣か二足歩行獣が好みで、四つ耳は滅びろと思う過激派です。
フリマアプリで詰め合わせになった本を購入するのにハマっていまして、自分では絶対に買わないだろうというような本と出会うのを楽しみにしている分けですが、この作品もそんな出会いの一冊になります。
さて、今作の主人公は犬の獣人です。
表紙イラストを見ると耳と尻尾だけのコスプレみたいな獣人だなぁ……となるわけですが、この子は無自覚チート系主人公です。
まず境遇。飲んだくれのどうしようもない父親(凄腕鍛治士)が仕事してくれないから危険地帯に素材採取に行き、独学で技術を身につけていく……。
母親は元冒険者で、伝説級の人達との人脈がある。
既にわかりやすいチートの香りが漂っていますね。
それどころか今作は登場人物(ほぼ)全員チート級!
一番好きなのは熊の獣人のチート農家、テリテさんですね。
農家の副業冒険者でチートってなに?
でも熊だしなぁ。で納得できてしまうインパクト特大お姉さん(二児の母)です。
リアル一番恐ろしい生き物は熊だと思っているので、彼女が国を滅ぼそうとドラゴンを片手で捻り殺そうと驚きはしません。が、あくまで冒険者は副業。料理上手で面倒見のいいお姉さん(人妻)です。
主人公はお世話になったテリテさんの為に激レア素材をふんだんに使った鎌を作ってプレゼントしようとするわけですが、鎌に使うのには勿体ない素材&激レア素材を扱うには足りない技術のせいで父ちゃんからはいろいろダメだしされてしまったりするのです。
なんというか登場人物(ほぼ)全員チート級の割に全体的な印象がほのぼのしていて、あくまで主人公は鍛冶士を目指す話なんですよね。
ここまでレベルいらんだろみたいなツッコミもよく入るし。
そもそもレベルアップ補正がチートみたいなものだしなぁ。
亡くなっているので直接登場はしない主人公の母もチート級冒険者の匂いがぷんぷんしますが主人公からすればただの母ちゃんなわけですよ。
環境チートって感じですかね。
レベル596は最初だけでレベルアップ補正チートがあるのでその後もポンポンレベルアップしてスキルアップしていくのはタイトルのレベル固定じゃないんだ……みたいな残念感がありました。
最終的な印象は、むしろ主人公父ちゃんの方じゃない?
というほど父ちゃんの活躍が素晴らしかったですね。
ダメダメ父ちゃんを更生させるストーリーと思えば……ノアが主人公の物語、なのかな? とも思う、なんとも言えない一作でした。