水曜日が消えた (講談社タイガ)
映画原作映画ノベライズです。
帯に一人七役と書かれていたのが気になってしまい、先に映画を観てしまいました。
全体的に映画と同じ展開ですが、ラストだけ少し違いました。
個人的には映画のラストの方が好きでしたが、こちらのラストも素敵でした。
とてもジャンルが悩む作品ですが、一番はヒューマンドラマといったところでしょうか。
ひとりの人間の中に七つの人格があり、曜日ごとに人格が入れ替わるというユニークな状態の人物が主人公です。
作中は七つの人格の内のひとつ、「火曜日」が主人公となるのですが、いつ目覚めても火曜日で、一週間で一番退屈な日だと不満を抱いているところ、ある日突然水曜日にも自分の意識があり、別人格の「水曜日」が消えてしまったことに気がつく。というようなお話なのですが、人格それぞれが別々の才能を持っていてそれぞれが一流というのがまたユニークな設定だなと思いました。
映画だとイマイチ「水曜日」がどんな人物なのかわからなかったのですが、小説を読むことで照れ屋なスポーツマンなのだなだとか、「木曜日」は以外と気難しい人なのだなだとか一番アクティブそうな「日曜日」が以外と寡黙なキャラなのだなという細かい部分が理解出来て面白かったです。
映画を先に見てしまった身としても楽しめましたが、先に読んでから映画を観てもエンディングが違うので楽しめる作品かと思います。
とても好きなシーンは人格ごとに付箋カラーがあって、お互い付箋メッセージでやりとりをするところです。めんどくさがりそうな「月曜日」もしっかり付箋メッセージを残していたり、面倒ごとを押しつけるときにキャラメル一個だとか小さなお菓子を添えるところなどが個性が表れていていいなと感じました。
あとは潔癖気味な「火曜日」が片付けすぎると他の人格にバレると言われて少し散らかそうとするのに、散らかし方まで几帳面というところが面白いなと思いました。
どの人格も個性が強いので、彼らの日常をもう少し覗いてみたかったなと感じた作品でした。
映画のエンドロールだと日常のやりとり付箋が流れるのでああいうシーンをもっと見たいですね(歯医者の押し付け合いが好きでした)