テンプレ展開のせいで、おれのラブコメが鬼畜難易度 (ファンタジア文庫)
書き出しの時点で閉じたいと主人公が語ってくる通りの1冊。
ラブコメテンプレの供給過多。このテンプレはどの作品のどのシーンだ? と思ってしまう程テンプレ連打してくるような作品です。
主人公は幼馴染みと結ばれたいがためにテンプレの神様の加護を得たのですが、その瞬間窓をぶち破って自称婚約者の美少女が降ってきた。というあらすじ見てもなにこれ? 意味わかんない。と言いたくなってしまうのですが、本編もずっとこんな感じで「意味わかんない」「なにこれ」と言いたくなってしまう展開が続きます。
パロディもかなり多く、これ出版された当時でもネタが古いのでは? と思ってしまうようなネタまであります。
パロディは元ネタがわかってこそ楽しめるものだと思うのでやはり年数の経ったパロディネタは読んでいてきついですね。
しかもこの作品は「ライトノベルをたくさん読んでいること」を前提に書かれているように思えます。タイトルくらいは知っているかな? と言うような有名作品タイトルのパロディが作中で出てきたり、主人公が漫画やアニメでこういう展開がよくあるテンプレだみたいな話を本当にたくさんするのですが、このジャンルに多く触れてきた人出なければ理解出来ないことも多いと思うので本当にメインターゲットが「日常的にラノベを読んでいる人」なのだろうなと感じました。
全体的にネタの鮮度が下がっている作品なので日常的にラノベを読んでいてもある程度若い人には既に元ネタが全くわからないというパロディが多いかも知れません。
とりあえず主人公が開始一行で言っている「目を覚ましたら、おれの隣には下着姿の美少女が眠っていた。」なんて書き出しで始まった作品はぱたんと閉じた方がよいかもしれません。
好感を持てたのは目次ページがチャットアプリ風になっていて、作中の女神とのやりとりを連想されるデザインというところくらいでしょうか。
発売直後に手に取っていたらもう少し印象が変わったかも知れない1冊でした。