ROSEの読書感想文

読んだ本とかWeb小説の感想を書くよー

私の婚約者は、根暗で陰気だと言われる闇魔術師です。好き。 (角川ビーンズ文庫)

 美形じゃないヒーロー、好き。
 
 少女小説系のヒーローと言えば金髪だったり銀髪だったりキラキラ系美形が多い中、根暗で陰気な闇ワカメ、もやしの方がまだ歯ごたえがあるとまで言われてしまうヒョロガリの上に色白でくっきりクマなヒーロー。その上卑屈。
 
 最高か。
 
 自信家ヘタレの次くらいに好きな属性てんこ盛りなヒーローの上に、ヒロインが男前ですよ。作中で他のキャラから男前と言われてしまうほど男前ヒロイン。かっこいい。
 癖と癖を煮詰められたようなキャラ属性でした。
 
 しかも転生じゃない! 悪役令嬢じゃない!
 これだけでポイント高くなってしまう最近の悪役令嬢過剰供給状況ですが、主人公達の出会い自体は少女小説でよくあるパターンです。
 事件のはじまりは主人公の父親が冤罪で裁判にかけられることになった時に証言者が現れ疑いが晴らされるところから始まります。
 証言者こそがヒーローなのですが、犯人に嫌がらせをしたかったなどともっともらしい理由をだらだら喋る。根暗キャラってなぜか喋りますよね。やたら喋りますよね。癖。
 ヒーローは主人公家族の恩人なので主人公家族からは最初から好感度高い状態になりますが、主人公も中盤くらいまでは恩人の少し変わってるけれど親切な人くらいの距離感なのがまたいいです。
 
 後半は主人公イケメンからのロマンチックな展開でニマニマしながら見守りたくなる二人です。
 ヒーローの決意的に続編できてもいい感じではあるのですが、この一冊で終わらせていた方が余韻が残ってよいかもしれません。
 
 悪役が狂人であること以外は比較的平和な構成で、ヒーローが差別を受けまくっている嫌われポジションというのがやや新鮮だったかなと思います。
 
 普段推す自信家キャラとは正反対なヒーローですが、真摯な彼は応援したくなるタイプです。
 根暗で差別受けてる割に同僚からは大切にされているのも普段から誠実な人間なのだろうなと感じられ好きなポイントでした。
 
 らぶらぶゲロ甘でも美形ヒーローでもないのですが、甘さもほどよい感じで、主人公、ヒーロー共に好感が持てるを通り越して応援したくなるキャラクターでした。