怨霊診断
「夜葬」を期待すると期待外れな印象。
こちらの作家さんは「夜葬」で知って、今回で読むのが四作目なのですが「夜葬」のインパクトがありすぎたせいか少し物足りない印象でした。
主人公が元彼の自称YouTuberの頼みを断り切れずにYouTubeチャンネル動画に出演することになり、そこでやった「霊感診断」が原因で事件に巻き込まれていく……という話ではあるのですが、この「霊感診断」ってよくネット掲示板で見る家の中を歩くやつですよね。
試したことがあるのですが、自宅の間取りを正確に思い出せずに毎回断念するやつです。みなさんよく「窓」や「扉」の位置や数まで覚えていられるなと思ってしまいました。
診断中に「自分の家」ではなく「他人の家」に迷い込んでしまった主人公に玄関で気づけと突っ込みたくなりました。
払えないけど「見える」タイプの主人公は映画で言うところの絶叫クイーンというところでしょうか。怖がってきゃーきゃー叫んでくれる人がいると怖さが軽減されますよね。
そしてシリーズ物なのかなんなのかこの作家さんの他の作品にも登場する「メイドカフェ」が登場し、主人公もお世話になることになるのですが。
なんかこのメイドカフェメンバーが登場すると緩みすぎる印象で序盤のホラー度ががくっと下がってしまいます。
特に「七怪忌」に出てきたと思われるあの二人はどうしても緩んでしまいます。
キャラクターが濃すぎてホラー度が下がってしまうのはホラーとしては残念ですね。
主人公の行動も理解出来ない部分が多いのですが、まあそうしないと話が進まないからこういうタイプの主人公なのだろうなと思いつつ、それにしてもあの元彼野郎は最低だなと思うわけです。
元彼の家にほいほい行くなというのが一番の突っ込みポイントですかね。
まあ、「本物」ばかり引き当てた元彼YouTuberくん、それなりに見る目はあったのかなと思うので、彼が主人公で自己責任キャラロスト路線の方がホラー度は上がったのかなと思いました。
好きだったポイントは、人見知りだった主人公がメイドカフェに馴染んで接客業こなせるように成長したところでしょうか。
意外と人見知りの人の方が飲食店ホールスタッフに向いていたりするんだよなーと。
作家名で期待していた分期待外れという印象の作品だったので、やっぱり成人主人公で土着系ホラーが読みたいなと思った作家さんでした。