ROSEの読書感想文

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1冊でわかるポケット教養シリーズ ピアノが上達する音楽の思考法

 ピアノ教本というよりは噛み砕かれた楽典という印象です。

 豊富なたとえ話で音楽の構造などを説明はされているのですが、たとえ話が主観的すぎてややわかりにくいかなというのが抱いた感想です。

 ただ、楽曲に対するアプローチの考え方は参考になる部分も多いかと思いました。

 

 演奏と作曲はまた別の技術だけど作曲してその譜面を他人に伝わるように書いて演奏して貰えるレベルになれば自分の演奏への解像度も上がるみたいな話も興味深い部分でした。

 

 指揮者を目指す音楽漫画で主人公がひたすら写譜をさせられるシーンがありましたが、あれも演奏家に必要な能力を鍛えるトレーニングの一つなんだなだとか気づきもあります。

 

 帯にもあるように「読む」「聴く」「弾く」「書く」は切り離せず全てひっくるめて鍛えなくてはいけない部分なのだなと思いました。

 

 全体的に著者の方の主観が強い本ではあるので(科学的な参考文献的な話が不足している印象)この一冊だけを鵜呑みにするのは少し問題があるかなとは思うのですが、一つ一つの項目が短いので他の音楽書を読む前のとっかかりには丁度いいかもしれません。

 

 タイトルに「ピアノが」とあるようにピアノ奏者向けに書かれているのでペダルの話や管楽器や弦楽器と比較したときの奏法の違いなども書かれています。他の楽器を演奏する人や創作の資料などの参考にもなりそうな部分で、電子ピアノを使用しているとそこまで意識しないペダルの効果的な使い方などは少し意識したいなと思った部分でした。

 

 全体的に短く区切られていて文章も読みやすいものでした。

 本格的な演奏技能や理論の本はハードルが高いという場合には手に取りやすい一冊かなと思います。

 上級者には必要ないかも知れません。